2025年7月9日(水)夜10時からスタートした本格サイエンスミステリー『最後の鑑定人』。
その第1話は、事件のわずかな痕跡も見逃さず、それをもとに事件の真実をあばく展開でした。
舞台は元科捜研のエースだった敏腕鑑定人・土門誠(藤木直人)が
独立して立ち上げた民間の鑑定所。
そこへ持ち込まれたのは、12年前の未解決事件に関わる“白骨遺体と大量の貴金属”。
一見すると何も語らない白骨遺体…。
土門はデータから人物を特定しようと試みる。
事件性の薄い状況に、警察も乗り気ではない。証拠はほぼゼロ。
それでも彼は、「科学は嘘をつかない」と根気よく真実を追い始めます。
一方、彼のもとに加わっているのは、心理学の専門家で“嘘を見抜く力”に長けた高倉柊子(白石麻衣)。
物理的証拠がなくても、視線や表情から相手の嘘を嗅ぎ取る“変人研究員”との異色バディ。
第1話では、そんな二人の視点から、声なき遺体と向き合いながら
「嘘か真実か」の境界線を探るサイエンスサスペンスが繰り広げられました。
今回はそんな『最後の鑑定人』第1話の中から、
・白骨遺体が語りかけてきた“静かな証言”
・証拠ゼロの中で神崎が見出した“信じる力”
・そして視聴者の声と、私の心に残ったこと
を中心に考察していきたいと思います。
最後の鑑定人が挑む!12年前の“白骨遺体”が語りかけてきたものとは?
神奈川県の海岸で、水没した1台の車が引き上げられた。
その車の中から発見されたのは、白骨化した遺体と、大量の貴金属がきちんと詰め込まれた鞄。
現場に訪れた刑事・都丸(中沢元紀)と係長・三浦(阿部亮平)は、すぐに12年前の強盗殺人事件との関連を疑う。
実際、残されていた金属類は、その事件で奪われたものと一致した。
だが、捜査はそこから一歩も進まなかった。
遺体の身元は不明。目立った外傷もなく、事故か事件かの判断さえできない状態。
科捜研の協力も得られず、捜査班には早くも諦めムードが漂いはじめていた。
そんな中、三浦は民間鑑定所の「上門鑑定所」への依頼を提案する。
対象は、元・科捜研の敏腕鑑定人・土門誠(藤木直人)。
「上門に鑑定できない証拠なら、他の誰にもできない」と語られるほどの実力を持つ彼は、
“最後の鑑定人”という異名で呼ばれていた。
依頼を受けた土門は、現場の資料とわずかな痕跡から、遺体と現場の“整合性のなさ”に着目する。
すでに事件性が見落とされようとしていた中で、彼だけが「まだ語られていない何かがある」と直感していた。
それはまるで、遺体自身が「真実はここにある」と静かに訴えているかのようだった。
科学的な根拠と、死者に寄り添う直感。
両方を携えた土門だからこそ、声なき証言を受け止めることができたのかもしれない。
貴金属と白骨遺体以外に“証拠ゼロ”と思われる状況で神崎が信じたもの
事件の発端は、海中から引き上げられた一台の車だった。
車内からは白骨化した遺体と、大量の貴金属が発見された。
その貴金属は、12年前に起きた強盗殺人事件で奪われたものと一致。
現場に駆けつけた刑事・都丸と係長・三浦は、事件性を疑うが、捜査は思うように進まなかった。
というのも、身元不明の遺体に加え、物証が乏しい中で、科捜研の協力も得られず。
1ヶ月以上も警察内では本格的な捜査が行われないままだった。
「証拠がない」「これ以上調べようがない」──空気はすでに“諦めムード”だった。
そんな状況で、三浦が提案したのが、私設の上門鑑定所への依頼だった。
そこにいるのが、“最後の鑑定人”と呼ばれる元・科捜研の土門(藤木直人)。
都丸も「上門に鑑定できない証拠なら、他の誰にもできない」と、その腕を信じていた。
土門が現場に着目したのは、決して派手な証拠ではない。
彼が信じたのは、長年の経験と、微細な痕跡が持つ“情報のかけら”。
誰もが「もう何も出ない」と見放しかけた状況の中で、
彼だけが、死者の沈黙に耳を傾け、そこに“まだ語られていない事実”があると信じていた。
派手な証拠がなくても、沈黙の中に真実は潜んでいる。
土門の鑑定は、まさに“声なき証言”に寄り添う行為だった。
最後の鑑定人が消去法で導き出す答えとは
藤木直人さん演じる土門誠は、海に沈んでいた車の中から発見された白骨遺体を前に、まず血液型がB型その中でもBO型であることと、おおよその年齢を割り出します。
この時点で都丸勇人は、科学の力に素直な驚きを見せますが、
高倉柊子(白石麻衣)は「これって、そんなにすごいことなんですか?」と疑問を投げかけます。
その言葉に、土門は
「科学捜査は、一見些細なミクロの事実を、ひとつひとつ積み重ねていく作業だ」熱く語り返し、
自身が途中まで作成していた真っ白なパズルを取り出して説明を始めます。
全体の絵ばかりに目を向けていると、ひとつのピースはなかなか見つからない。
だが、凹凸の角度を一つずつ丁寧に見極めていけば、
そこにぴたりとはまるピースは自然と限られてくる。
そうしてひとつ見つけたピースが、次の手がかりを示してくれる。
これこそが、土門の考える科学捜査なのだと。
その後も高倉は、血液型と年齢層だけでどうやって個人を特定するのかと疑問を抱きますが、
土門は白骨遺体から生前の顔を復元する方法を提案します。
ただしこの方法にはベータベースが必要であり、
そこで彼は信頼する研究官・尾藤宏果(松雪泰子)に協力を依頼することになります。
最後の鑑定人第1話放送後|視聴者の声と私の心に残ったこと
藤木直人さん演じる土門と、白石麻衣さん演じる高倉柊子のバディ関係は、
放送直後から「丁々発止のやりとりが面白い」とSNSでも多くの反響があったようです。
少し風変わりな土門と、疑問をストレートにぶつける柊子の距離感に、
どこか既視感を覚えた方も多かったのかもしれません。
なかには「ガリレオっぽい」「科捜研の女に似てる」といった声も見られました。
一方で、「科学捜査はミクロの積み重ねだ」と土門が熱く語ったシーンには、共感の声も多くありました。
私は作成途中の白いパズルを使って、
“凹凸の角度を見極めていけば当てはまるピースは限られていく”という例えが印象に残っていますが
ネットではそこまでの反応はないように思えます。
私自身、このシーンには胸を打たれました。
決定的な証拠がない中で、ひとつひとつ地味な作業を積み重ねていく姿勢。
その過程こそが土門の信じる科学捜査であり、誠実さの現れなのだと感じました。
科学捜査のプロといえるのではないでしょうか。
もちろん、「新鮮味が少ない」と感じた視聴者の声もあったようです。
でもだからこそ、これからどんなオリジナルの魅力を見せてくれるのか、私は楽しみにしています。
今後の尾藤宏果とのやりとりや、土門の過去にも何か秘密がありそうで、次回の展開からも目が離せません。
まとめ|科学は嘘はつかない!嘘つくことができるのは人間
「科学は嘘をつかない。嘘をつけるのは人間だけだ」──
土門誠のこの言葉は、第1話の中でも特に心に残るセリフでした。
冷静で無口な彼が、珍しく熱を帯びた口調で語ったその瞬間。
視聴者の中にも、聞き入ってしまった方もいたのではないでしょうか。
科学は、感情を持ちません。
好き嫌いや思い込みにも左右されません。
ただ、そこにある事実を、積み上げた結果として示すだけ。
でも、そのデータをどう解釈し、どう使うのかは人間次第。
だからこそ土門は、科学そのものではなく、
“その手前にいる人間の姿勢”にこそ強い想いを持っているように感じました。
第1話では、血液型や年齢、パズルのピース、
そして顔の復元に至るまで、すべてが地道な積み重ねの結果として描かれていました。
誰かの主観ではなく、ただまっすぐに積み上げられたもの。
それを「真実に近づく手段」として信じている土門の姿勢に、私は深い静けさと強さを感じました。
一方で、「嘘をつけるのは人間」だという言葉も、どこか切ない響きを持っていました。
過去の誰かがついた嘘が、今もなお残された人の心を縛っている──
そんな背景があるのだとしたら、土門の鑑定は嘘で苦しんでいる人“解放”の手段でもあるのかもしれません。
これから、どんな人間の嘘と向き合っていくのか。科学という静かな武器をもって、
土門が何を見つけ出していくのか。その過程を注目していきたいと思います。
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