キャスト陣の繊細な芝居が光った『僕たちはまだその星の校則を知らない』第3話。
今回のストーリーでは、ちょっとした“気づき”や“すれ違い”が大きな波紋を呼び、登場人物たちの心情が静かに揺れ動いていきます。
なかでも注目されたのは、近藤華さん演じる三木美月と、越山敬達さん演じる内田圭人のシーン。学校内でのある行動がきっかけとなり、クラス内に不穏な空気が流れはじめます。
互いの立場や思いがうまく伝わらず、誤解が誤解を呼ぶ展開に――。
一方で、のせりんこと高瀬佑介が動き出す天文部復活の流れや、健治(磯村勇斗)の対応力、珠々(堀田真由)の葛藤なども描かれ、静かだけれど印象に残る回となりました。
さらに終盤には、理事長・尾碕(稲垣吾郎)の意味深な動きもあり、今後の展開に一層の興味が湧いてきます。
今回はそんな第3話の展開をふり返りつつ、キャラクターたちの心の動きにも注目していきます。
何気ない日常のなかで起こる小さな出来事が、時に人間関係に大きな影響を与える——そんな“高校”という閉ざされた空間ならではのリアルさも印象的でした。
誰もが加害者にも被害者にもなり得るなかで、どう寄り添い、どう判断していくのか。
白鳥健治の存在が、学校という場に静かな風を吹き込んでいるのかもしれません。
三木が感じた不安とは?写真をめぐる誤解の行方は
校内で、三木美月(近藤華)はクラスメイトの内田圭人(越山敬達)がスマートフォンを自分の方向に向けていたように感じ、思わず声をかける。
すると、内田は驚いた様子でその場を立ち去ってしまった。
ほんの一瞬の出来事だったが、その後三木のなかにじわじわと不安が広がっていく。
さらに後日、内田が部活動仲間に撮影をした話を耳にし、彼女の心は不安にさらされる。自分がどう見られていたのか、何を撮られていたのか、それが他の誰かに共有されているのではないか――。
答えのない状況が、三木の想像を加速させてしまう。
学校側に相談した三木の言葉には、直接的な怒りよりも、どこか困惑と戸惑いが混ざっていた。
第三者から見れば“誤解”だったとしても、当事者の気持ちはそう簡単には整理できない。
周囲の反応や、相手の何気ない行動が、自分のなかの不安をさらに膨らませてしまうこともある。
このシーンでは、近藤華さんの繊細な表情が印象的だった。
このエピソードは、ちょっとした行き違いやタイミングのずれが、人と人との間に大きな誤解を生んでしまう怖さを描いていたように感じます。
特に、確かな証拠がないままに広がっていく不安や、「もしかして…」という想像が人を追い込んでしまう過程には、思わず現実を重ねてしまう人もいるかもしれません。
ちょっとした行き違いが大きなすれ違いになる――そんな現代的な空気感も感じられるエピソードだった。
周囲がとろうとした行動に健治がストップをかけた冷静な判断とは
三木の不安を受け、教師たちは内田のスマホから画像をすぐに削除するよう指導すべきではないかと動き始める。
特に山田先生(平岩紙)は、生徒を守る立場として迅速な対応を望んでいた。
一刻も早く対処することで、三木の安心につながると考えたのだろう。
しかしその流れに、健治(磯村勇斗)はひとつの待ったをかける。
感情的になって即時削除を求めてしまえば、その画像が何であったのか、事実確認の手段が失われる可能性があるからだ。
証拠がないままでは、かえって当事者同士の溝を深めてしまうおそれもある。
たとえ善意の対応であっても、その結果が新たな不信や後悔につながることもある。
だからこそ健治は、削除ではなく“確認”というプロセスを重視した。
これは法律家としての考えというだけでなく、当事者それぞれの立場を尊重しながら、冷静に全体を見渡した判断だったとも言える。
そして、画像の確認役として指名されたのが珠々(堀田真由)だったことも、状況を柔らかく保つうえで大きな意味を持っていた。
生徒に近い目線を持ち、冷静さと共感のバランスをとれる彼女の存在は、健治の判断を支える柱になっていたのかもしれない。
一見すると小さな“判断の分かれ道”だが、その一手がこの出来事をどう着地させるかに大きく関わっていた。
慎重すぎると思われるかもしれない選択が、今回は最も的確な道だったのではないだろうか。
内田の真意と“誤解”の解消|ふたり勇気をだして向き合った結末とは
内田圭人(越山敬達)が撮影していたものは、三木美月(近藤華)ではなく、彼女の肩に偶然とまった珍しい昆虫だった。
これまでの言動が誤解を招くかたちとなってしまったが、内田の説明によって事実関係は明らかになっていく。
一方、三木は自分の不安を誰かに伝えるという行動を選んだことで、事態が前に進んだ。
内田の行動に対して不信や戸惑いを抱えながらも、感情をそのまま押しつけるのではなく、きちんと向き合ったことが大きかったのだろう。
ふたりのやり取りは劇的なものではなかったが、沈黙や視線のなかに、互いへの配慮や迷い、そして理解し合おうとする姿勢がにじんでいた。
それは、誰かを責めることではなく、“どう受け止めるか”という選択に重きが置かれていたようにも思える。
このエピソードは、思い込みが引き起こす不安やすれ違いが、どのようにして解消されていくかを静かに描いていた。
そして、当事者が自分の言葉と行動で向き合うことによってしか、心の距離は縮まっていかないという現実も伝えていた。
自分の気持ちを正直に表現することも、相手の説明を聞いて受け入れることも、どちらも勇気のいることだ。
ふたりがその一歩を踏み出したからこそ、今回の出来事は対立ではなく、理解へとつながっていったのだろう。
天文部復活への動き|それぞれの“居場所”を求めて
天文部の復活を目指す高瀬佑介(のせりん)は、1年生の江見芽衣(月島琉衣)とともに動き出していた。きっかけとなったのは、健治(磯村勇斗)からのささやかな助言。
生徒会の規約を読み込んでいく中で、高瀬は「自分たちにもまだできることがある」と気づいていく。
そんななか、三木美月(近藤華)が「天文部に入りたい」と申し出る。
ほんの少し前まで不安の渦中にいた彼女が、自ら新しい場所に足を踏み入れる決断をしたことに、思わず胸を打たれる場面だった。
三木にとって、天文部はただの“部活”ではなかったのかもしれない。
これまでの自分とは少し違う方向に進んでみたい。
そんな気持ちの表れだったのかもしれないし、内田との一件を経て、「ちゃんと向き合えば伝わる」という経験が背中を押したのかもしれない。
そして、健治が自ら「天文部の顧問をやりたい」と言い出した場面も印象的だった。
これまでやや距離を置きながら関わってきた健治が、生徒たちの変化や可能性に心を動かされたのだとしたら、それもまた大きな前進だ。
何かを始めるのに遅すぎることはない。
誰かの一歩が、誰かの居場所をつくる。
天文部という場所がまた、誰かにとっての“安心できる空”になっていくのかもしれない。
まとめ:尾碕理事長の狙いとは?|健治と“父”に向けられる理由はいったい…
今回の第3話では、人と人とのすれ違いや誤解、そしてそこから生まれる小さな気づきが丁寧に描かれていました。
大きな事件が起こるわけではないものの、その分だけ感情の動きが静かに、でも確かに伝わってくる構成だったように思う。
健治(磯村勇斗)の存在感も回を重ねるごとに変化してきている。
初回の頃はどこか頼りなさや浮ついた印象もあったが、今回は一歩引いた冷静な判断が、問題を大きくしないための“ブレーキ”として機能していた。
法的な観点だけでなく、生徒たちの気持ちに寄り添いながら着地点を探る姿勢が印象に残った。
また、三木や内田、高瀬といった生徒たちの変化も見逃せない。
決して派手な演出ではないが、視線や行動、言葉の選び方から、彼らが“ただの高校生”ではなく、“揺れ動きながらも前を向こうとする存在”であることが伝わってくる。
天文部の再始動も本格化しそうな気配で、今後は“居場所”をテーマにしたエピソードがさらに描かれていきそうだ。
そして気になるのが、健治と理事長、そして父・誠司との関係。動き出した伏線がどのように絡み合うのかにも注目が集まる。
スクールロイヤーとしてだけでなく、一人の人間として学校に関わる健治が、これからどんな影響をもたらしていくのか。
生徒たちとの関係のなかで“信頼”がどう描かれるのかにも、引き続き注目していきたい。
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