『シバのおきて』最終回は、ただ終わるだけの回ではありませんでした。
犬と人の距離――その間に積み重なった日常や癒し、失敗も喜びも、すべてが優しく肯定される時間でした。誰かを追い詰める展開も、大きな悲劇もありません。
ありのままの弱さに寄り添い、思わず微笑んでしまう瞬間が丁寧に描かれています。
福ちゃんを中心に、編集部や飼い主たちが“自分の大切なもの”に気づいていく姿は、視聴者の心にもそっと灯をともしてくれたはずです。
この最終回の魅力を、一緒に振り返っていきましょう。
シバのおきて~われら犬バカ編集部~ネタバレあらすじ(最終回)
福ちゃんが突然倒れ、診断は「胆泥症」。
胆のう破裂の危険もあり、手術を選ぶか入院で回復を待つかの判断が迫られる。
滑沢先生(松坂慶子)は福ちゃんへの負担を最優先し、手術は避けて時間をかける治療を選択した。相楽(大東駿介)は動揺し、仕事への集中力も失われてしまう。
娘から「福ちゃんがいないとパパはダメなんだね」と言われ、心の支えを失った自分に気づく。
編集部では、沈む空気を払うように次のシバONE企画が動き出す。
石森(飯豊まりえ)の提案「私のダメシバ自慢」が採用され、取材を重ねるほどに“犬の問題”ではなく“飼い主の未熟さ”が浮かび上がる。
そこで相楽が「飼い主のダメも出すべき」と切り替え「ダメシバがダメ飼い主を救う」という形に企画が進化していく。
編集部の誰もが、福ちゃんの存在がどれほど自分たちを支えていたかを実感する瞬間だった。
病院では福ちゃんの食欲が戻らず、容態が悪化。
滑沢先生は「このままでは危険」と告げ、相楽は一度自宅に戻り“好きな物を食べさせる”選択に踏み切る。
病人食には見向きもしなかった福ちゃんだが、家族で手作りしたフライドチキンにはゆっくりと口をつけた。
その小さな一口が命の灯を取り戻し、やがて退院。編集部総出の温かい拍手の中、福ちゃんは帰ってくる。
シバのおきて~われら犬バカ編集部~|福ちゃんは偉大な犬だった
『シバのおきて~われら犬バカ編集部~』最終回で最も強く伝わってきたのは、福ちゃんが“優秀な犬”ではなく“偉大な存在”だったという事実です。
倒れた福ちゃんの姿に編集部も家族も立ち尽くしましたが、その喪失感は単なるペットへの心配ではありませんでした。
毎日欠かさず職場を巡回し、誰かが落ち込めばそっと隣に座り、無言で寄り添ってくれた存在。
忙しさに追われる人間たちが忘れてしまった「休む」「立ち止まる」「深呼吸する」を、福ちゃんは何度も思い出させてくれました。
彼がいない時間でそれぞれが気づいたのは、“仕事の成功”でも“結果”でもなく、人としての大切なバランスです。
犬が人間を変え、守り、導く――その象徴こそが福ちゃんでした。
シバのおきて~われら犬バカ編集部~最終回|シバONE企画
『シバのおきて』最終回で立ち上がったシバONE企画は、犬の“困った行動”を笑うものではありませんでした。
福ちゃん不在の静けさの中で、編集部は犬と飼い主の関係を見つめ直し、思わぬ真実へ辿り着きます。
私のダメシバ自慢
企画の出発点は、飼い主が抱える“シバの困った癖”だった。
3日以上同じおかずは見向きもしない、運動好きなのにハードルは絶対に飛ばない、気に入らない人には頑なに距離を取り続ける。
そんな「人間なら怒られるようなワガママ」も、犬だと不思議と笑い話になる。
そして極めつきは福ちゃん。あれほど周囲を包む存在でありながら、実は誰よりもビビり。
小さな音に肩をすくめ、初めての場所では必ず編集部の誰かの後ろに回っていた。
ダメさを共有すると、犬たちは愛しさで満たされていく。
完璧を求めるのではなく、欠点すら肯定できること。それがシバと暮らす醍醐味だった。
私のダメ飼い主自慢
“ダメシバ”の次に編集部が向き合ったのは、飼い主自身のダメさだった。
三田はボムを“女性に声をかける道具”に使い、いざとなれば犬を盾に逃げてきた。
新堂は誰にも心を開けず、皮肉と嫌味で人を遠ざける“最悪の同僚”。
滑沢先生でさえ、失恋するたびに患者そっちのけで愚痴をこぼし、石森は異動に納得できず腐りきっていた。
そして相楽はもっと酷かった。
嫌われ、ボイコットされ、パチンコ編集部から追い出され、人生の底にいた。
それでも福ちゃんがいたからこそ、彼はこの編集部を立ち上げ、仲間と出会い、シバONEは形になった。
犬が人を救う――それは偽りのない現実だった。
シバのおきて~われら犬バカ編集部~最終回|福ちゃん夢叶える企画SP
福ちゃんへの「ありがとう」を形にするため、編集部は“福ちゃんの夢を全部叶える一日”を用意した。
最初に向かったのは恐竜のいる施設。案内役の新堂がゴーカートを走らせ、巨大な恐竜を次々と見せていく。
恐竜の口から福ちゃんが顔を出して撮った写真は、まるで冒険のワンシーン。
尻尾を揺らす姿に、編集部は自然と笑顔になった。
続いて訪れたのは絶景スポット。
人間のための“映え”ではなく、犬が感じる匂い、風、足裏の感触が伝わる場所だ。
誰かが先導するのではなく、福ちゃん自身の歩幅に歩調を合わせる—その時間そのものが贈り物だった。
世界一周の企画は、本物の旅ではなく“世界の雰囲気を疑似体験するミニツアー”。
色、音、匂い、食べ物を通じて、福ちゃんは旅人のように目を輝かせた。
浦島太郎の演出も、ふざけてはいない。未知の体験を前に、少しだけ戸惑いながらも興味を示す福ちゃんの姿が微笑ましかった。
そして最後に用意されたのが「サンキュー福ちゃん」。
新堂と相楽が一緒に作った歌で、技術や見栄ではなく、福ちゃんへの感謝だけを込めて歌い上げた。
福ちゃんは穏やかに耳を傾け、座っているだけで十分な答えを返してくれた。最終回に必要だったのは“企画の完成”ではなく“愛を渡す時間”だったのだ。
シバのおきて~われら犬バカ編集部~最終回|まとめ
『シバのおきて』最終回は、福ちゃんの成長でも編集部の成功でもなく、犬と人が共に歩んだ時間の尊さを静かに教えてくれました。
ダメさを笑い合い、夢を本気で叶え、最後にただ「ありがとう」を伝える。
そこに優劣も勝敗もなく、誰かを責める必要もありませんでした。
福ちゃんが倒れた時、編集部は初めて自分たちの弱さと向き合い、それでも寄り添ってくれた存在に救われていたことを知ります。
福ちゃんは特別な能力を持つ犬ではない。
ただ側にいるだけで人を前へ進ませる力を持っていました。
犬が人を幸せにするのではなく、人と犬が一緒に幸せになっていく――その姿が、この作品の答えでした。
シバのおきて~われら犬バカ編集部~全話はこちら
『シバのおきて』は、犬と人が互いを支え合う日常の積み重ねでした。
福ちゃんと編集部の出会い、迷い、笑顔、企画の成長——その歩みは各話に散りばめられています。
気になる回があれば、ぜひ1話から振り返ってみてください。
👉シバのおきて全話まとめ|犬バカ編集部の涙と感動!キャスト編集部情報
シバのおきて~われら犬バカ編集部~アラカンサヲリのひとこと
福ちゃんが復帰してくれた喜びの先に、まさか“退職”という選択が待っているなんて…。
でも相楽さんの表情を見た瞬間、胸の奥がすっと落ち着きました。
無理に現場にしがみつくのではなく「福ちゃんと一緒に暮らす時間を選ぶ」。
それって逃げではなく、最高に誠実な生き方ですよね。
植木職人として土に向き合う相楽さんの姿は、不思議とシバONE編集長よりも似合っていました。
犬と人の人生が別々ではなく“横並びになる瞬間”――最終回はその尊さを教えてくれました。


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