ドラマ『雪煙チェイス』後編では、前編で張り巡らされた疑念と違和感が一気に動き出す。
無実を証明するため、雪山を逃げ続けてきた脇坂竜実は、ついに“ゲレンデの女神”の正体へと迫っていく。
一方、警察の捜査も新たな局面を迎え、竜実を疑い続けてきた構図そのものが揺さぶられることになる。
果たして女神は誰なのか、そして真犯人はどこにいたのか。
後編では、雪山での追走の果てに明かされる真実と、それぞれの選択が描かれていく。
本記事では、物語の結末までを含めたネタバレあらすじを整理していく。
雪煙チェイスあらすじ(ネタバレあり)後編
雪深い山奥の穴場エリアで、脇坂竜実と波川省吾は“ゲレンデの女神”を探し続ける。
赤い水玉のウェアに星型シールのヘルメットという手掛かりを追い、似た女性を見つけて必死に追走するが、雪山の起伏に阻まれ見失ってしまう。
一方、警察の捜査は本格化し、小杉敦彦と白井琴音は地元の協力を得て包囲網を強める。
やがて竜実と波川は捕まるものの、竜実の人柄を信じた小杉は証人探しの続行を認め、自らは東京へ戻って真犯人を追う決断を下す。
スキー場ではゲレンデウェディングの準備が進み、プランナーの千晶や成宮姉妹が女神候補として浮上。
竜実は妹・莉央の助言から姉・葉月に辿り着き、ついに証人と再会する。
葉月は妊娠を理由に身元を隠していたのだった。だが本庁の中条は再び竜実を疑う。
しかしその瞬間、小杉から真犯人確保の連絡が入り、状況は一変。
被害者と親しかった岡倉貞夫が犯行を自白し、葉月の証言で竜実の無実も確定する。
事件後、竜実は里沢温泉スキー場で働くことを決意し、新たな一歩を踏み出す。
事件の決着とともに、それぞれが選んだ未来も描かれ、雪山での逃亡劇は再生の物語として静かに幕を閉じ、雪煙の中で明かされた真実が、彼らの運命を大きく動かしていく。
雪煙チェイス後編ネタバレ|なぜ警察は最後まで竜実を疑い続けたのか
後編でより際立ったのは、警察が一度抱いた疑念から抜け出せなくなる構図だ。
被害者宅で働いていたという立場、事件直後に姿を消した状況、そして若く社会的にも弱い存在であることが、脇坂竜実を「疑いやすい人物」にしていった。
決定的な証拠がないにもかかわらず、状況証拠を積み上げることで犯人像が固定されていく様子は、現実の捜査にも通じる怖さがある。
一方で、小杉敦彦だけは竜実の言動や人柄に触れる中で違和感を抱き続けた。
彼が重視したのは論理よりも「人を見る視点」だったと言える。
組織としての警察は効率や整合性を優先し、個人としての刑事は人間性を信じようとする。
そのズレが、竜実を追い詰める圧力となった。
本作は、犯人探し以上に「一度疑われた人間が、いかに不利な立場に置かれるか」を描いており、竜実の逃亡は無実を証明するための必死の抵抗だったと受け取れる。
また、所轄と本庁の思惑が絡むことで、捜査はより「結論ありき」になっていった点も見逃せない。
疑いを撤回することは、捜査そのものを否定する行為になりかねず、その空気が竜実を追い詰めていった。
警察の決めつけが、無実の人間を追い込む危うさが静かに浮かび上がっていた。
雪煙チェイス後編あらすじ|女神は何者だったのか?
後編で明かされた“ゲレンデの女神”の正体は、成宮莉央の姉・成宮葉月だった。
赤い水玉のウェアと星型シールのヘルメットは偶然が重なった目印にすぎず、彼女自身は証人になるつもりもなく、ただ雪山でスノーボードを楽しんでいただけだった。
妊娠中であることを周囲に知られたくなかった葉月は身元を明かさず、その行動が結果的に竜実の運命を大きく揺らすことになる。
葉月は特別な正義感を持った人物でも、事件に積極的に関わろうとした存在でもない。
だからこそ、彼女が語った事実には嘘や作為がなく、最終的にアリバイ証言として採用された。
ここで描かれているのは、「誰かを救おうとした英雄」ではなく「真実をそのまま語った一人の市井の人」だ。
この構図は、警察による決めつけ捜査と鮮やかな対比を成している。
疑いは想像や先入観から生まれるが、真実は当事者の言葉からしか現れない。
女神とは奇跡の存在ではなく、信じるに足る他者が現実の中に確かに存在するという希望の象徴だったのではないだろうか。
葉月が名乗り出たのは勇気からではなく、事実を否定できなかったからだ。
その選択が、疑念に覆われた物語を現実へ引き戻す決定打となった。
雪煙チェイスネタバレ後編|真犯人はなぜ見落とされていたのか
後編で明かされた真犯人は、被害者・福丸陣吉と日常的に交流のあった囲碁仲間・岡倉貞夫だった。
事件の構図としては意外性よりも現実味が強く「最も近くにいた人物」が見落とされていた点が印象的だ。
岡倉は金銭的に追い詰められ、福丸に金を無心するも断られたことで犯行に及んだ。
しかし、その動機は歪んではいるものの、突発的で身近な感情の延長線にあった。
警察の視線が若く外部の人間である竜実に向けられていた一方で、福丸の人間関係の内側は十分に掘り下げられていなかった。
囲碁仲間という関係性は「安全」「善意」と無意識に判断されやすく、疑いの対象から外れていたのだろう。
岡倉が犯行後にDVDを回収し、囲碁の教本を仏壇に置くという不自然な行動を取ったのも、近しい存在だからこそ可能だった隠蔽だった。
この真相は、疑われるべき人物と見落とされる人物が、必ずしも論理的に決まるわけではないことを示している。
『雪煙チェイス』は、事件そのものよりも「疑念の向け先がいかに偏るか」を描き出し、日常に潜む危うさを静かに突きつけていた。
見えている証拠だけの思い込みが、捜査の盲点を生んでいた。
疑いの向きが固定された瞬間、真実は静かに見えなくなっていった。


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